毎日「仕事を辞めたい」「でも誰にも言えない」と思いつめていませんか?
そのせいで心身ともに疲れた、朝が来るのが怖いと感じるならそれはうつ病かもしれません。
厚生労働省では毎年、労働衛生安全調査(実態調査)を行っています。
令和4年の統計結果では、メンタルヘルス不調により、連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.6%(前年度8.8%)です。
また、退職した労働者がいた事業所の割合は5.9%(前年度4.1%)となっており、年々増加傾向にあります。
仕事により強いストレスを感じているならうつ病かもしれません。
この記事ではうつ病で仕事を辞める前に知っておくべきことを、うつ病で仕事を休業したことのある筆者がお伝えしていきます。読むことが辛いときは無理して読もうとしないでくださいね。
参照:令和4年 労働衛生安全調査(実態調査) 結果の概況 | 厚生労働省
仕事を辞めたいのはうつ病かもしれない場合どうしたらいいの?

仕事の大変さや、職場の人間関係の悩みは、毎日となると本当に辛いものですよね。
ですが、仕事を辞めたいと思っても自己診断でうつ病と決めつけるのはよくありません。
疲れた、だるいと感じるのは、他の病気の可能性もあります。例えば、自律神経失調症や起立性調節障害、慢性疲労症候群などです。
うつ病はどんな特徴がありますか?
うつ病にかかると無気力で憂うつな心の状態が長く続きます。
原因は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減ってしまったからです。これらの神経伝達物質は精神を安定させたり、やる気を起こさせたりします。
ストレスを感じると「セロトニン」「ノルアドレナリン」は減少するのですが、減少したままだとやる気が出ない状態が続くのです。
疲れた上に仕事を辞めたいと思いつめるのも、脳内の神経伝達物質が減少した可能性が高いと言えるでしょう。
そのせいで仕事や生活、人間関係がうまくいかないと感じるなら、うつ病かもしれません。専門家の正しい意見を聞く必要があります。
厚生労働省のこころもメンテしよう〜若者を支えるメンタルヘルスサイト〜では、うつ病の特徴を9つ挙げています。項目が当てはまるか、まずはチェックしてみましょう。
うつ病で仕事を辞める人の前兆
うつ病で仕事を辞めたいと考えている人の前兆は、以前と比べ変わった言動がサインとして現れてきます。以下の項目が自分に当てはまるか確認してみてください。
- ケアレスミスが増えた
- 同僚との会話を避けている
- 遅刻や当日欠勤が増えた
- 離席することが増えた
- 机の整理ができていない
- 電話の応対がきちんとできない
- 居眠りやぼんやりしていることが増えた
- 些細なことで怒る
- 動きが鈍くなった
- ネガティブな発言や態度が増えた
仕事を辞めたいのはうつ病だからかも?そんなときのストレス診断

うつ病で実際に吐き気や耳鳴り、夜眠れないのに職場では眠いなど、すでにはっきりとした症状が出ている方も、中にはいることでしょう。
「仕事を休みたい」「仕事を辞めたい」と思いながらも無理して職場に行く人が大半です。
このようなことくらいで休めないと、市販薬やサプリメントで一時凌ぎをしている方も多いのではないでしょうか。
ですが、体調不良を放っておくとうつ病が悪化する恐れもあります。
抱えているストレスの程度を、簡単に診断し可視化する方法をご紹介しますので、やってみましょう。
治療のためにストレスのリスクを自覚することが第一歩です。
5分でできる職場のストレスセルフチェック
厚生労働省の 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」は、心の健康のために役立つ情報サイトです。
このサイトの「5分でできる職場のストレスセルフチェック」は、4つのSTEPによる57の質問から、職場でのストレスレベルを測定、診断します。
所要時間は5分ほどです。ぜひやってみましょう。
簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)
もっと詳しくうつ病なのかどうかを知りたい方は、簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)(参照:厚生労働省)を使ってチェックしてみましょう。
これは実際に病院やクリニックでうつ病の診断に用いられるもので、16項目の自己記入式になっています。
著名な精神科医John Rush 医師により開発され、世界10 カ国以上で使用されている尺度票です。
日本語版は慶応大学医学部の藤澤大介医師のグループによって作成されています。
うつ病の特徴に当てはまるけどどうしたらいいの?
ここまでで自分の今の精神状態を客観的に把握できましたか?
仕事を辞めたいのはうつ病かもしれないと、わかってきた方もいることでしょう。
ですが、やる気が出ない理由がまだピンとこないという方もいるはずです。そのような状態では不安ですよね。
もしかしたら、他の病気の可能性もありますので、一度かかりつけの病院に相談してみてください。
精神科を受診する
精神科を受診するとしても、どのような診察をするのか不安ですよね。最初は抵抗があるかもしれません。
メンタル疾患を甘えと捉える人も多く、周りの目が気になる方もいるでしょう。
ですが、うつ病を放置すると、眠れない、吐き気がするなどの体調不良がひどくなり、仕事を休まざるをえないかもしれません。
そうなれば、今よりもっと「仕事を辞めたい」と苦痛に感じるようになるのではないでしょうか。
現代の精神科は、心療内科やメンタルクリニックという名前を掲げている医院も多いです。
病院によりますが、優しい雰囲気の内装やBGMで、患者のストレスや待ち時間の苦痛を和らげる工夫をしているところもあります。
診察は問診や心理検査、投薬の相談などが行われます。
他の診療科と同じように気軽に受診してみてください。
カウンセラーによるカウンセリングを実施している病院もあります。
抱えている問題を整理する手がかりをつかむことができますので、気になる方はカウンセリングを医師に相談してみてください。
憂うつな気持ちや体調不良を限界まで我慢しないようにしましょう。
診断書を作成してもらう
診断書は、医師が病状を評価し、仕事を続けることが難しい状況を客観的に示してくれます。
これは、職場での対応や、休職や退職に向けた手続きで重要な役割を果たします。
また、のちほど説明するさまざまな給付金や障害年金を受給するためには診断書が必要です。
診断書を準備しておくことで、仕事を辞めたいときにスムーズに対応でき、うつ病の治療に専念することが可能になります。
うつ病のときの仕事の辞め方

勤務先や仕事仲間に相談できないと悩んでいて、ストレスからすぐにでも仕事を辞めたいという方も少なくないでしょう。
うつ病のせいで体調不良であることを、誰にも言えないのは辛いですよね。
相談できたとしても、理解してもらえるかどうか不安です。
退職の結論を出すにはまだ早いですが、うつ病のときの仕事の辞め方を考えておきましょう。
うつ病で退職するときの上司や得意先への切り出し方は?
会社を退職する場合、まず就業規則を確認しましょう。
例えば、退職を申し出るのは退職の1ヶ月前と記載されていれば、その通りにするのがベストです。
特に記載がなければ、民法に定められている14日前に申し出ましょう。
切り出し方は「うつ病と診断されたので治療に専念したい」と伝えるのがよいでしょう。
取引先にはなにも言わなくてよい場合がほとんどですが、必要があれば退職するとだけ言えば問題ありません。
切り出しにくいからと言って嘘の理由でごまかすのはよくありません。このあとのさまざまな手続き上でも困ることになります。
うつ病は日本人の約15人に1人がかかる病気です。
参照;こころもメンテしよう〜若者を支えるメンタルヘルスサイト〜(厚生労働省)
上司も以前に部下から相談を受けた経験があることも考えられます。もしかしたら、上司もうつ病になったことがあるかもしれません。
早めに治療するためにも思い切って話を切り出しましょう。
それも難しいときは退職届を提出するだけでもかまいません。すでに仕事に行けなくなっている方は郵送しましょう。
退職届の書き方のテンプレートはネット上にたくさんありますので、自分の職場に出すために適したものを利用してください。
退職代行サービスを利用してもよいか
仕事を辞めたいときに退職代行サービスを利用するケースも増えてきました。
料金の相場は1万〜5万円で、支払いは先払いが一般的です。
もし、利用する場合はどこに依頼するかをよく考えましょう。
民間の業者は、退職したいと伝えて書類等のやり取りをするだけで、会社との話し合いや交渉はできません。
また依頼する際は、会社が申し出に応じず退職が不成立になったとき、返金保証があるかどうかを確認しておきましょう。
退職代行ユニオンは正社員だけでなく、パート社員や派遣社員でも入れる労働組合です。団体交渉権があるため、会社との協議や交渉が可能になっています。
消化していない有給休暇の取得や、未払いになっている給与や残業代の支払いなど、不安材料があるときは、こちらがいいかもしれません。
退職代行サービスを利用するのは悪いことではありません。
労働問題にはひとりで解決できないさまざまなケースがあるからです。
また、すでに仕事に行けなくなっている方にも有効な方法と言えます。
うつ病かもしれないときに仕事を辞める以外の方法
「うつ病かもしれない」「本当は会社に行きたくない」と思いながら、我慢して仕事に行っている方もいることでしょう。
仕事を辞めたいけど、どうしても決断できないと悩んでいませんか。
辞めたら生活ができないのではないかと、お金の不安を抱えている方もいるでしょう。
再就職できないのではないかと心配している方もいるはずです。
現代はコロナ禍ということもあり、働き方が多様になってきました。
退職・休業する前に、働きながらうつ病を治療する方法をご紹介します。
仕事量や勤務時間を変更できるか相談する
うつ病で仕事を辞めたいのは、仕事量が自分の力量や勤務時間に見合っていない場合もあります。
行動が鈍くなるので作業が進まなくなり、迷惑をかけていると思う人もいるかもしれません。
仕事のストレスを軽減するために、仕事量を減らせないか上司に相談してみましょう。
うつ病は午前中に体調が悪くなりやすいとされています。
夜勤や交代制勤務の人は、生活が不規則になり睡眠不足に陥りやすいです。
不眠が1年以上続くと、うつ病が発症するリスクは通常の40倍になるとも言われます。
また、交代制勤務が5年未満の場合、うつ病を有する人の率は5%以下ですが、勤務を5年以上続けた人の場合は30%近くまで上がります。
夜勤が多い方はうつ病がよくなるまで、日勤に勤務形態を固定してもらえるよう相談をしてみましょう。
それ以外にも、単に勤務時間を短縮するだけで仕事の負担が減り、体調不良が楽になるでしょう。
異動・リモート勤務を願い出る
うつ病で仕事を辞めたいのは、仕事内容や人間関係が理由の方もいるでしょう。
自分に合わない仕事内容や人間関係を続けて行くのはストレスですね。
もし可能なら、部署異動を上司に申し出るのもひとつの方法です。
部署が変われば仕事内容も人間関係もがらりと変わります。
最初は慣れずに大変かもしれませんが、職場や業務の悩みは一気に解消するかもしれません。
オンラインでできる仕事であれば、リモートワークをお願いするのもよいでしょう。
出勤の肉体的・精神的な苦痛も和らげることができます。
休職を願い出る
うつ病で仕事を辞めたい方に1番おすすめしたいのは、休職・休業することです。
症状が軽い場合は治療しながら仕事を続けられますが、重症度が高くなるとストレスでミスが多くなり重大な事故を起こしかねません。
なるべく治療に専念した方がよいでしょう。
休職するにはまず、会社の就業規則や契約書を確認しましょう。
休職制度があれば、申請方法や休職期間も一緒に確認してください。これらは会社ごとに違います。
休職制度がない場合でも、申し出ると休職を考慮してもらえる場合があります。
休職中は会社と連絡が取れるようにしておきましょう。
引き継ぎ忘れや書類のやり取り等、あとから連絡が必要になるときもあります。病状のヒアリングや復職について話し合う機会も出てくるでしょう。
申請するときに上司と話せない事情があるなら、診断書をもとに産業医との面談で休職について相談することもできます。
産業医は50人以上の事業所に必ず選任され派遣されています。専門的な立場から労働者が病気や怪我で休むべきか、会社へ報告をするのも仕事のひとつです。
主治医として診断書を発行する場合もあるので、人事部や相談窓口で産業医の面談について事前に尋ねてみるのもおすすめです。
休職中は給料が出ない職場が多いので、休職する前に生活費をどうしたらよいか考えておく必要があります。
また、雇用関係にあるので給与は出なくても、社会保険料を支払い続けることになります。その支払い方法もきちんと会社と話し合いましょう。
そして、休職中には有給休暇を利用できません。
有給休暇を消化したい場合は、休職する前に取得するようにしてください。
うつ病の人は病状のためどうしても視野が狭くなり、思考力も弱まっているので正確な判断が難しくなっています。
すぐにでも仕事を辞めたいかもしれませんが、ある程度回復するまで答えを出すのは待った方がよいでしょう。
心配なことがたくさんあると思いますが、休職してリラックスできる環境で過ごし、うつ病を着実に回復させて、復職や転職に臨みましょう。
うつ病で仕事を休職したときのお金の対策8選

うつ病で休職することになっても、生活費やお金の問題が大きな不安要素ですよね。
ですが、適切な対策を講じることで、経済的な負担を軽減することができるのです。
ここでは、うつ病で仕事を休職した際に活用できる8つのお金の対策について詳しく説明します。
健康保険の傷病手当給付金を申請する
うつ病で仕事を休職したとき、まず検討すべきは健康保険の傷病手当給付金です。
この制度は、病気やけがで仕事ができなくなった場合に、生活費をサポートするための給付金を受け取ることができるものです。
傷病手当給付金は、仕事を3日連続で休み、4日目以降も休んだ場合に支給されます。給与の約3分の2が支給されるため、休職中の収入減少をカバーする助けとなります。
申請には、医師の診断書や勤務先の証明書が必要ですので、会社に確認して早めに手続きを進めましょう。
尚、以下の場合は支給額の調整が行われ、一部または全部が受給できなくなりますので注意してください。
- 給与の支払いがあったとき
- 障害厚生年金または障害手当金を受けているとき
- 老齢退職年金を受けているとき
- 労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)とき
- 出産手当金を同時に受けるとき
参照:傷病手当金(全国健康保険協会)
生命保険の給付金受給を申請する
うつ病で生活費の不安がある場合、自分が加入している生命保険の内容を確認しましょう。
多くの生命保険には、病気や障害による給付金が含まれていることがあります。
もし、契約内容にうつ病で休職した際の給付金が含まれている場合、申請することで通院や入院の給付金を受けることができるのです。
役所で自立支援医療制度を申請する
うつ病で休職中の医療費が生活費に大きな負担を与える場合、役所で自立支援医療制度を申請することを検討してください。障害福祉の支援担当部署で相談することになります。
この制度は、精神疾患の治療にかかる医療費の一部を公費で負担するもので、自己負担額が軽減されます。軽減額は所得により変わります。
申請には、指定医療機関での診断書や収入証明書が必要です。
生活費の節約につながるこの制度を利用し、治療に専念できる環境を整えましょう。
参照:自立支援医療(厚生労働省)
:自立支援医療の概要(厚生労働省)
特別障害者手当を申請する
特別障害者手当は、うつ病などで生活に著しい制限が生じる場合に支給される手当です。
受給の条件は、日常生活が難しく特別の介護を必要とする状態で、在宅の20歳以上の者です。この手当は、精神障害だけでなく身体障害にも適用されます。
申請には、医師の診断書や住民票、収入証明書が必要です。
受給条件を満たす場合、この手当は生活費の安定に大きく役立ちますので、ぜひ活用してください。
参照:特別障害者手当について(厚生労働省)
会社に労災保険給付を申し出る
仕事が原因でうつ病を発症した場合、会社に労災保険給付を申し出ることができます。
労災保険は、業務に起因する病気やけがに対する補償制度で、療養費や休業補償給付などを受け取ることができます。
申請には、会社の協力と労働基準監督署への報告が必要です。仕事が原因でうつ病となり、休職している場合、生活費の補填として労災保険を申請することを検討しましょう。
参照:労災保険給付の概要(厚生労働省)
年金事務所に障害年金を申請する
うつ病で仕事を続けることが困難になった場合、年金事務所に障害年金を申請することが可能です。
障害年金には、国民年金に加入している人が申請できる障害基礎年金と、厚生年金に加入している人が申請できる障害厚生年金の2種類があります。
障害基礎年金は審査後、病気や怪我で障害等級表(1級・2級)による障害の状態にあるときに支給され、障害厚生年金は審査後、それに上乗せする形で支給されます。
ただし、障害厚生年金を受ける規定より重症度が低い場合は、障害手当金を一時金として受け取るだけに留まり、障害厚生年金は受け取れません。
申請には、医師の診断書や年金加入記録などが必要で、審査を通過すれば隔月の給付を受けることが可能です。
うつ病で仕事が難しい場合、この年金制度を利用し、経済的な支えとしましょう。
参照:障害年金(日本年金機構)
役所に障害者手帳を申請する
うつ病で生活が大きく制限される場合、役所に精神障害者保健福祉手帳を申請することが可能です。
この障害者手帳を取得すると、各種公共サービスの割引があります。例えば、バスや地下鉄などの公共交通機関が無料もしくは割引になったり、NHKの受信料が無料になったりします。また、国立の博物館や美術館も無料で利用できるでしょう。
他にも障害者雇用の対象となることで、会社やハローワーク、障害者支援施設で仕事の再開をサポートしてもらえるなど、さまざまな支援を受けることが可能です。
申請には、医師の診断書や写真が必要で、役所の障害福祉担当部署で手続きを行います。障害者手帳は、生活費の負担を軽減し、社会的支援を受けるための重要なツールと言えるでしょう。
所得により利用金額が違いますが、少額ですので症状が重い場合は利用を検討してみてください。
参照:障害者手帳について(厚生労働省)
:精神障害者居宅生活支援事業の実施について(厚生労働省)
うつ病で仕事を辞めたいけど次がないのでは?

うつ病で仕事を続けるのが辛くなり、それでも辞めたいと感じるかもしれません。
しかし、次の仕事が見つからないのではないかという不安が、決断をためらわせる原因となることもあります。
ここでは、うつ病を抱えながら就職活動をする際の注意点や、仕事を辞めた後に取るべき具体的な行動について解説します。
うつ病のときの就職活動で気をつけること
うつ病の影響で仕事を辞めたいと感じたとき、新たな職場を探すのは簡単ではありません。
うつ病を抱えたままの就職活動は、無理をするとさらに病状を悪化させるリスクがあります。
まずは、自分の体調や気分に合わせて活動のペースを調整し、焦らずに進めることが大切です。
また、就職先を選ぶ際には、ストレスの少ない環境や、職場のサポート体制が整っているかどうかも確認することが重要です。
もし、精神障害者としてハローワークで障害者雇用に応募する場合は、障害者手帳と医師の意見書等が必要になります。
また、障害福祉サービスの就労継続支援A型・B型事業所では、簡単な仕事から通常業務へゆっくり移行する訓練もできますので、自分の病状に合わせて検討してみてください。
参照:障害者福祉施設における就労支援の概要(厚生労働省)
うつ病の影響で仕事ができないと、また辞めたくなるのでは?
うつ病が原因で仕事がうまくいかないと感じると、再び辞めたい気持ちが強くなることがあります。
このような状況を避けるためには、仕事を始める前に自分の症状を正確に理解し、どのようなサポートが必要かを考えることが大切です。
また、適切な療養を受けながら、少しずつ仕事に慣れていくことも考慮に入れるべきです。
これにより、再び仕事を辞めたいと感じるリスクを減らし、安定した職場生活を送ることができるでしょう。
うつ病で仕事を辞めたときのお金の対策
うつ病で仕事を辞めることは、心身の健康を守るために必要な選択ですが、その後の生活費について不安を感じる方も多いでしょう。しかし、適切な対策を講じることで、お金の問題を乗り越えることができます。
まず、うつ病で仕事を辞めた場合に活用できるのが雇用保険の失業手当です。
これは、仕事を辞めた後の生活費を補うために支給される手当で、一定期間、収入の一部をサポートしてくれます。申請にはハローワークへの手続きが必要で、定期的な求職活動が条件です。
次に、雇用保険の傷病手当があります。
うつ病の症状が重く、すぐに就職活動が難しい場合には、失業手当の代わりに傷病手当を申請することができます。
これにより、治療に専念しながら生活費を確保することが可能です。
さらに、再就職が見えてきた段階では、雇用保険の再就職手当を利用することが考えられます。
この手当は、早期に再就職した場合に支給されるもので、転職活動をサポートしてくれます。新しい環境で働き始める際の助けになるでしょう。
申請には、それぞれ雇用保険被保険者証、離職票、本人確認書類、写真、キャッシュカードもしくは普通預金通帳、診断書などが必要です。調べてから申請しましょう。
これらの手当をうまく活用し、うつ病による生活費の不安を軽減することが大切です。経済的なサポートを得ることで、治療に集中し、心身の健康を取り戻すことができるでしょう。
参照:ハローワークインターネットサービス-雇用保険手続きのご案内
うつ病で仕事を辞めたいけどそれって甘え?

うつ病になり、仕事を辞めたいと感じると「これは甘えではないか」と思ってしまうことがあるかもしれません。
しかし、うつ病によるこの感覚は、甘えではなく、体と心からの重要なサインです。
以下に、その理由について詳しく説明します。
うつ病で仕事を辞めたいのは体からの危険信号
うつ病で仕事を続けることが辛いと感じるのは、体と心が限界に達している危険信号です。
うつ病になると、集中力の低下や疲労感、絶え間ない不安感などに悩まされることが多くなります。
これらの症状は、体が「もう無理をしないで」と警告を発している状態を示しています。
仕事を辞めたいと感じるのは、甘えではなく、体が本能的に休息を求めている証拠なのです。
この危険信号を無視し続けると、症状が悪化し、さらなる健康問題を引き起こす可能性があります。
ですから、まずは自分の体の声に耳を傾け、無理をしないことが大切です。
Q&A

ここではうつ病で仕事を辞めたい方の悩みとして、よくある質問をご紹介します。
仕事を辞めるべきサインは?
仕事を辞めたいと感じることは誰にでもありますが、特に注意が必要なのは、心身に深刻な影響が出ている場合です。
例えば、毎日の仕事が辛くて起き上がることすら難しい、うつ病の症状が悪化している、あるいは仕事のことを考えると強い不安感が襲ってくるなどの状態は、体や心が限界を迎えているサインです。
また、仕事へのモチベーションが完全になくなり、日常生活にまで悪影響を及ぼしている場合も、辞めることを検討すべき時期かもしれません。
これらのサインを無視して仕事を続けると、さらなる健康被害を招く可能性が高いため、早めに対処することが重要です。
辞めたほうがいい職場の特徴は?
仕事を辞めたほうがいい職場には、いくつかの特徴があります。
まず、長時間労働や過度なストレスが常態化している職場は、心身に大きな負担をかけるため、うつ病などの精神的な問題を引き起こしやすいです。
また、職場の人間関係が悪く、パワハラやいじめが横行している環境も、辞めることを考えるべき要因でしょう。
さらに、労働条件が契約と異なり、改善の見込みがない場合も注意が必要です。
これらの職場で働き続けると、体調を崩したり、仕事が辛くて辞めたいと感じることが増える可能性が高いため、適切なタイミングでの退職を検討しましょう。
何月に退職するのが得か?
退職する時期によって、経済的なメリットが変わることがあります。
例えば、ボーナスの支給時期に合わせて退職することで、金銭的に得をする場合があります。
一般的に、6月と12月がボーナス支給月とされている企業が多いため、その前に退職を決めるのは得策ではありません。
また、年末調整や社会保険の手続きが絡む12月末や、年度末の3月末に退職することで、手続きがスムーズに進むケースもあります。
退職後の生活費や失業手当の受給タイミングも考慮して、退職の時期を計画的に選ぶことが重要です。
突然仕事を辞めたいのですができますか?
突然、仕事を辞めたいと思うことがあるかもしれません。
特に、うつ病の症状が悪化したり、職場でのストレスが限界を超えたときには、そのように感じることがあるでしょう。
しかし、退職を急ぐ場合でも、法律的には最低2週間前に通知をすることが原則とされています。
とはいえ、体調が優れない場合や、急を要する事情がある場合は、早めに上司や人事に相談することをおすすめします。
健康を最優先に考え、無理をせず、自分を守るための行動を取ることが大切です。
まとめ

うつ病で仕事を辞めたいと感じることは、決して甘えや弱さではありません。
心身のバランスが崩れている中で、仕事を続けることがどれほど辛いか、自分自身が一番よく知っているはずです。
まず、自分の気持ちを認めてください。「辞めたい」と感じるのは、それだけ今の状況で苦しんでいる証拠です。自分を責める必要はありません。
仕事を辞めるかどうかの決断は、確かに難しいものです。
経済的な不安や将来の見通しが立たないことが不安を増幅させることもあります。
しかし、うつ病を放置すれば深刻な問題に発展することもあり、仕事だけでなく日常生活もままならなくなってしまいます。
筆者もうつ病で長く仕事を離れました。
このあとのキャリアがどうなるのか、家族に迷惑をかけて埋め合わせができるのかなど、毎日が自問自答でした。
ですが、主治医や介護スタッフの方々、友人たちに支えられて順調に回復し、仕事に復帰することができました。休業期間中にはスキルアップのための勉強もできて、今でもとても役立っており、好きなことも十分楽しめるようになりました。あのとき休業する選択ができて本当によかったです。
一歩踏み出すことは怖いかもしれませんが、これを読んでいる方も今は休む時期かもしれません。
自分を大切にし、必要なサポートを受けながら、少しずつ前に進んでいきましょう。
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